ベチベルライフ コラム

臭いについての対処法や、ホテルや旅館などの様々な場面に合わせた消臭方法をご紹介しています。

消臭剤・アロマについて

界面活性剤とは

surfactant

「界面活性剤」という物質をご存じですか?
本来混ざりあわない物質同士の境界に働きかけ、2つを混ぜることができる物質を界面活性剤と言います。
例えば、ドレッシングで考えてみましょう。ビネガーなどの調味料とオイルを混ぜてしばらく置いておくと、2層に分離してしまいます。これは水と油に親和性が無いためです。この性質の異なる物質同士の境界を、界面と言います。
では、界面活性剤はどのような物に使用されているのでしょうか?

水と油を混ざりあわせる界面活性剤

界面とは、違った性質の2つの物質の間にできる境界面のことで、先に挙げたドレッシングではビネガーとオイルの2層に分かれた境目の部分になります。この境界面を活性化して、性質を変化させる物質をまとめて界面活性剤と呼びます。

界面活性剤は水になじみやすい部分「親水基」と、油分になじみやすい「親油基」を同時に併せ持つ構造をしているのが特徴です。水にも油にもなじむ性質を持つことから、2つの物質を混ぜ合わせることができます。
例えば、ドレッシングのビネガーとオイルは分離して界面を作ります。
そこに、「親水性」と「親油性」の両方の特徴を持つ卵を入れてかき混ぜると、ビネガーとオイルの界面が活性化され、混ざりあってマヨネーズとなります。一度、マヨネーズになったビネガーとオイルはその後分離することはありません。これは、卵がビネガーとオイルを混ぜる界面活性剤として働くためです。

界面活性剤の3つの作用とは?

界面活性剤には主に3つの作用があります。

①「浸透作用」
水にウールやマイクロファイバーの繊維を入れても、水の界面張力(水同士の引き合う力)の働きで繊維に水がなかなか浸透しません。
ところが界面活性剤を加えた水の場合は、界面活性剤が水の界面張力を抑えて、繊維(主にウールやマイクロファイバー)への浸透を促します。

②「分散作用」
これは水になじまない粉末などを水中に均等に分散する作用です。
例えば、水にすすなどの粉末を入れても表面に浮かんでしまいます。ここに界面活性剤を加えると、すすが水全体に分散されます。

③「乳化作用」
乳化作用は、油と水のように、通常では混ざり合うことのない2つの物質が、細かい粒子となって分散した状態で混ざり合うことを言います。
例えば、牛乳には乳脂肪分が含まれています。乳脂肪分は本来水とは混ざり合いませんが、界面活性剤が働くことで水と混ざり合うことができます。
牛乳の場合水中に油滴が存在し、その周りにカゼインと呼ばれるたんぱく質が吸着しています。カゼインには親水基(水に対しての親和性が高いもの)と親油基(油に対しての親和性が高いもの)と呼ばれる原子の集まりが存在しており、油滴側には親油基が、水側には親水基が並ぶことで、水と油が混ざり合うことができるのです。

洗剤などに含まれる界面活性剤は、これら3つの作用が働くことによって汚れを落とします。汚れが付着した繊維を界面活性剤が含まれた水に入れると、浸透の作用で繊維と汚れの間に界面活性剤が入り込み、擦ったり、洗濯機の物理的効果によって汚れが繊維から引き剥がされます。剥がされた汚れは界面活性剤の分散、乳化作用によって水中に広く分散するため、再付着を防ぐことができるのです。

洗剤以外にも使われる界面活性剤

主に洗剤に使われる界面活性剤ですが、洗剤以外にも私たちの生活のさまざまな場面で使われています。

食品:アイスクリーム、バター、マーガリンなど(水と油を混ぜ合わせる乳化剤として)
医薬品:殺菌剤など(水溶性/油溶性成分を同時に配合するため)
産業:農薬(水に溶けない成分を溶かすため)
化粧品:乳液、クリーム(水と油を混ぜ合わせる乳化剤として)
化粧水、香水(水に香料や薬品を溶かし込むため)
ファンデーション(粉末を均一に分散させるため)

食品に含まれる界面活性剤は食品衛生法を基に、化粧品に含まれる界面活性剤は薬事法などの法律により基準が設定されています。界面活性剤は便利な反面、その種類、濃度によって人体や環境に悪影響を及ぼすことがあり、適切に使用するためには注意が必要です。

消臭剤にも界面活性剤が使われている

市販の消臭剤にも界面活性剤が多く使われています。消臭剤に使われる界面活性剤は、ベースに香料などの成分を溶け込ませる働きと、ニオイ物質を吸着する働きを持っています。
両性界面活性剤というアルカリ性か酸性かによって陽性にも陰性にも帯電する性質を持つ
界面活性剤が多く用いられており、それがニオイ物質を捕まえます。